2001.9 新橋演舞場 (たぬき ほか)
2001/9/2, 9/15 新橋演舞場 昼夜
三之助・亀亀Bros. +引率に團十郎、彦三郎で花形歌舞伎。
(この座で菊五郎が出ないなんてぇえええ。)
歌舞伎を初日に見るのは初めて。そして…もういっかい鑑賞。
初日のなにがハプニングだったって、昼の部が押すわ押すわ。4時25分までたっぷりかかって終了。原因は「たぬき」。たとえ左團次さんの台詞がすんなり出てきていたとしても、やっぱり押しただろう。(^_^;;) たぶんね。
この芝居、しかたがないので削って削って削った結果、後から見た方が数倍良かった。
いちど死に、別の人間として世間を欺いて生きる主人公こそがたぬき。そんなところが、より、浮き出てきていたと思う。
この話でよく人物が描かれていたのは、秀太郎さんのお染。前半は、あっけらかんとちゃっかりな女なのだが、やがて、恋人とも倦怠期、お金もなくて酒も仕入れられない、そういう状況で、かつての旦那と再会する。そのときの、遠巻きからそうっと見て、驚き、やがて、よく似てるけど違う、旦那はもっとやさしい顔をしてたよと、ひとり納得したようにうなずく様子。笑ったような、さびしいような。かつて、主人公がどんなにいい人だったか、この芝居の中でもっともよく表現し得たのは、このお染だ。
ほか、新・菊で鳴神。こんなもんか。
辰、初役で土蜘。
最後の「はっ!」という気合いで思わず割れんばかりの拍手をしてしまっている観客。騙されてる。騙されてる。
築山殿始末。新之助の信康。ぴったり。熱演。緊迫したよい芝居。だが、これで張り上げすぎるおかげで他の芝居の声がめちゃくちゃになってしまう。
菊之助の鏡獅子は見る側も緊張して疲れるけど、すがすがしく凛々しい。吉。
彦市話。主役は「殿さん(新之助)」のほうでないかと思わせるような芝居。辰之助はこういう世界には異様にはまる。天狗の子の巳之助くんが上手。
(2001.10.24)