雲の上にもこころあるらし(2024年3月歌舞伎座)

三月大歌舞伎 歌舞伎座 2024年3月3日-26日 昼 菅原伝授手習鑑 寺子屋 傾城道成寺 元禄忠臣蔵 御浜御殿 夜 通し狂言 伊勢音頭恋寝刃 六歌仙容彩 喜撰 観劇日3月16日 流行り病の余波で続いていた歌舞伎座の三部制が解かれてから、今月で12ヶ月めとなった。客席降りも、大勢の踊りもできなかったことを思うと、今月のような演目が並ぶのは嬉しい。 御殿の綱引きやら伊勢音頭の踊りやらに女形が沢山必要なので、いつもはとんぼを返っている方々が昼も夜も可愛らしく装っていて珍しい月になった。かと思うと昼も夜も坊主の人……

歌舞伎をつくる人の話を聴きに行きました(2024.2.10 戸部和久さん講演)

戸部和久さん(歌舞伎演出・脚本)のお話を聴きに行きました。 歌舞伎をつくる〜伝統から未来へ〜 2024/2/10 14:00- 星陵会館ホール 講師 戸部和久 ゲスト 中村鷹之資 聞き手 竹平晃子 高校生以下無料、大学生1000円、一般2500円 日比谷高校の元の運動場の敷地にある(らしい)星陵会館ホールはキャパ250名。 上手に桟敷席みたいに90度横を向いた席があるのを除くと(そこにも人がいましたが)満席になるくらいの盛況でした。 若い方が当日スタッフとして動いておられて新鮮。 お客様にも学生さんが多くい……

三箇所で音羽屋詣でなお正月(2024.1)

ここのところ毎年菊五郎劇団の勢揃いした国立劇場で正月を迎えていた。 が、2024年はなにしろ国立劇場がない。 早々に発表になったのは、歌舞伎座で松緑の荒川十太夫再演。 一方で国立劇場のさよなら公演ではロビーに控えめにお正月は新国立劇場で歌舞伎をやる旨の掲示が出ていた。 あら、菊之助と松緑が別々? やがて松也方面から今年で浅草は最後になるだろうという知らせもきた。 こちらは寧ろ今年も残れるのかいという感想。 ばらばらで寂しいなと感じていたら、松也の卒論(?)は宗五郎だって。 ということで、正月は音羽屋を感じに……

御存知と御贔屓の交わる所(流白浪燦星)

ルパン歌舞伎は、自分はああいうルパン(2辺り)がスタンダードと思って時が止まってるので、 みんなが知ってる最大公約数の水戸黄門的コンテンツを作ったものと捉えていましたが 最近のアニメのテイストは違っているらしく、歌舞伎ルパンのようなかっこいいルパンがもう一度見たかったんだ、よくやってくれたという複数の意見を読んで、そういうこともあるのかと認識を新たにしました。 刀剣乱舞歌舞伎もFFX歌舞伎も、原作ファンの方には、いかに”わかってる”と思わせたかがひとつの評価ポイントになっていたと思い……

詰め詰め盛り盛り流白浪燦星(2023.12 新橋演舞場)

ネタバレあります ルパン以外にもネタバレあります 気になる人は引き返して   ルパー〜んさーんせい言わなきゃいけないでしょ あの音楽もこの音楽も要るでしょ タイプライターやるでしょ 五右衛門だから絶景かなやらなきゃいけないでしょ 逮捕ダァも、ふーじこちゃんも要るし コラボの飲み物も宣伝しなきゃだし せっかく白浪なんだものだんまり入れるでしょ 葛籠背負ったらおかしいかぁー 稲瀬川勢ぞろいやるでしょ 小判撒くでしょ 早替わりもあるでしょ 廓に花魁道中でしょ 本水でしょ 吊るでしょ 盛り盛りの詰め詰めだ……

マハバ追記(2,3回目)

マハーバーラタ戦記再演 2023年11月 歌舞伎座昼 2回目19日、3回目千穐楽と観てきました。 以下、割ととりとめない話を。 2回目 を観たのは先に書いたとおり、もう少し良くなるんじゃないかと思ったのと、 菊五郎をできる限り見たいのとですが、 それプラス、お正月の新国立劇場の演目の情報が入ってきて(それは細切れの古典だったわけですが)そうか、お正月にできないから、今月このまとまった演目をかけたんだなって。 だとするとこないだは顔見世のぶん。こんどはお正月のつもりで見に行かないと。 菊五郎旦那、お元気そうで……

マハーバーラタ戦記再演(2023.11 歌舞伎座) (1回目)

前回、初演は一度観ました。すごくハマったというわけではないけれど、割合満足したような気がする。 今回は再演。二日目11/3に足を運びました。 いつもはこんなに月初に観にいくことはないのですが諸事情で早めの観劇になりました。 そしたら菊五郎が出演という知らせが舞い込んできました。とてもとてもありがたい。 今月はもう一度観に行きたい (と、思ってはいます) 1回目観劇での所感を少し。 序幕の神様勢ぞろいは前よりかっこいいかもしれない。 その場が極まって次の場に向かって盆が回り始めたときの高揚といったら! そして……

文七元結物語 を見ました (2023.10 歌舞伎座)

文七元結を見ている時、廓を不機嫌な所と思って見たことがなかった。 菊五郎の文七元結は機嫌のいいお芝居なのだ。(不機嫌というか無表情な女将さんはいた。玉三郎さんのとき。) 今月の文七元結物語の始まりになる廓は若干不機嫌だ。 國矢さんの藤助が怖い。 女将さんは、いつも眉をひそめていて、したたかで、しかし長兵衛には見かねて意見するような所のある女将さん。孝太郎さんだが一瞬秀太郎さんを思い出したりもした。 この役はいい役になったように思う。 見て一晩を経て、元の文七元結の芝居は長兵衛の視点だったことに気づく。 忙し……

刀剣乱舞歌舞伎 ひとまず終演のこと

刀剣乱舞歌舞伎のはなし。 後半ネタバレしかないかもしれない 自己防衛が必要な方は閉じてくださいませ 新作歌舞伎 刀剣乱舞 月刀剣縁桐(つきのつるぎえにしのきりのは) が幕を閉じました 最後は緞帳だったので幕をおろしました、かも 始まってから毎日感想サーチしてるけど、すんげーね。終わってもまだ配信もしてるので、途切れることがない。どんどこ湧いてくる。 こんなことふつう歌舞伎ではないし、FFXの時もこれほどはなかったよ。 自分は、現地でもだいぶ観たんですけど その後千穐楽の配信も見まして、面白かったのがカーテン……

とうかぶの座組のこと

新作歌舞伎 刀剣乱舞 月刀剣縁桐 (2023.7 新橋演舞場にて上演予定) 最初に出演者情報が流れてきたときには、花形歌舞伎的な扱いなのかと思いました。 やがてメインキャストが載った仮チラシが出たとき、おや、と思いました。 追加の出演者が発表になるたびに、これはわざわざ人選しているのだなという確信になりました。 今回のメインキャストは、初舞台から系図に載り坊ちゃんと呼ばれやがては父と同じ名跡を目指すような生い立ち「ではなかった」人が殆どです。 30年余り前に生まれ、世紀を跨いだ21世紀歌舞伎組は、梨園の外か……