SBヤマト 実ハ 宇宙戦艦ヤマト のこと

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Space Battle Ship ヤマト を見てきました。

説得力のかけらもない禅問答のような敵側の設定(しかもスタートレックから借りてきたみたいな)は、お話にならないので無視するとして、
記憶の中に残るヤマト(さらヤマも含め)のかけらを絵にしてみたところに関しては良くできていたと思います。赤い地球の絵をみたら、ストーリーとか関係なく、ぐっと来ます。じんわり泣きそうになりました。そういう世代です。
山本なんか、多分、ああやって死ぬためにキャスティングされたんではないかと思うし。

しかし、薄い薄い展開に、1の映画を見た時に、こんなにすかすかになっちゃって、と思ったことまで、再現させてくれました。元のヤマトを知らなくてどこまでわかるんだろうか、というのは疑問です。

見終わってから考えたのは、ああこれは、日本人が歌舞伎でやってきたことだなと。
何段もある長い物語のごく一部を、そこだけ上演するようなことなのだと。
だとすれば、全ての筋書きを知っていて、この映画を見るというのは悪いことじゃないんだと思う。
なぞらえたいことは、もうひとつあって、助六 実ハ 曽我五郎といった、ある役の本性は実は別にあるといった設定。この話は実ハ、曽我の世界なのである。あるいは隅田川の世界なのである。桜や梅といったら、たとえば盗賊であっても、ジツハ吉田の若様、息女なのである、といった設定。だから、突然、ぶっかえって本性を現し、家宝が手に戻ったからは少しも早くうんたらかんたら、といって本懐を遂げるために駆けてゆく。
木村拓哉の「古代進」を見ててそういうのを思い出しました。これはどっから見ても木村拓哉に見えるが、ジツハ古代進なのである。性格とかはぜんぜん古代進じゃないけども、最期は演説をぶって、ヤマトと運命をともにするのである。これは本性が古代進だからなのである。

黒木メイサにしても、本性は森雪なので、身を賭してコスモクリーナーの有効性を示すわけです。って、こっちは書いててつらくなってきました。

雪の扱いはひどいです。どこで古代に惚れたのかまったくわからない。古代の方もいつ雪に惚れたのか全然わからないが、わからないままにああなってこうなっちゃう。あれではデキ婚です。できてから愛するなんていうのは男の心理じゃないの、と思うのだが、脚本が女の人なのにはびっくりだ。(一応、島の説明で誤解が解けたということなんだと思うけど、その後、古代さんそうだったんですね、って影から見るとか、そういうのないと心境の変化わかんないよね。)

ということで、下敷きの原作をとっぱらうと本当に説得力なくてダメだと思うんだけど、これはヤマトじゃないとは言わせない絵の再現性と、これはあの場面やらこの場面やらのエッセンスなのだと積極的に感じ取るような見る側の「思い」による補完でなんとかもっている映画だと思います。

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