御存知と御贔屓の交わる所(流白浪燦星)

ルパン歌舞伎は、自分はああいうルパン(2辺り)がスタンダードと思って時が止まってるので、
みんなが知ってる最大公約数の水戸黄門的コンテンツを作ったものと捉えていましたが
最近のアニメのテイストは違っているらしく、歌舞伎ルパンのようなかっこいいルパンがもう一度見たかったんだ、よくやってくれたという複数の意見を読んで、そういうこともあるのかと認識を新たにしました。
刀剣乱舞歌舞伎もFFX歌舞伎も、原作ファンの方には、いかに”わかってる”と思わせたかがひとつの評価ポイントになっていたと思います。
ルパンもご存知ものというだけでない側面があり、大衆向けと贔屓向けの重なる所に落とす匙加減があるのですね。
(そうよな。暴れん坊将軍にだって、加納の爺以外認めん!的なアレはあるもんな)

歌舞伎が、あのルパンの追っかけの絵になるのは面白かった。
大道具や立ち回りの方々が「絵」を動かし
馴染みの音楽が流れ、俳優が動く
愛之助と香川照之(中車)の声なんですよ。でもルパンの声だしとっつあんの声だと捉えてたよね。
リメイクとかアレンジとか、音楽でもゴジラでもウルトラマンでもみんなそうですけど、同じ魂を感じ取れるようにできてるかが受け入れられる鍵じゃありませんか。
刀剣のときは結構ビジュアルに拒否反応も出てましたよ。誰?って。あれは40年50年経たものと比べて熟成が進んでないんだと思う。まだ具体的なんだ。観る側も若い。
ルパンのビジュアルは割と違うんだけど、かっこいい、まさにルパン、って言われるの。
あ、これでいいの?って私逆に疑問でしたけど、いいらしい。
もはや心象化が進んでて、記憶の残像の濃いところと一致するかどうかくらいでみてるんとちがうか。
それが昔見た好きだったルパンだって共鳴するのかもね。
自分は芝居としてはちょっと薄いと思ったんだけど(1時間スペシャルくらいの印象)、ルパン好きな人がこれがルパンだって喜んでるならいいかな。
小判降ってきてめでたかったし。

最近、歌舞伎化マジックは上手くいっている例が多いですけど、毎回蓋を開けるまではハラハラしますね。歌舞伎じゃないものになっていないかな。こんなの○○じゃない!って言われないかな。

願わくば今年も美味しいわくわくが訪れますよう。

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