松助さんと松也くんのこと

国立劇場で、たぶん初めて歌舞伎鑑賞教室を見たときだと思うが
パンフレットに松助さんへのインタビューが載っていた。
そこにあった写真は、昭和30年代にテレビ放送されたドラマ赤胴鈴之助で鈴之助役を演じていた尾上緑也くん。のちの尾上松助丈である。
当時は白黒で生放送だったので見ることがかなわない作品。
私は、昔の時代劇に興味があり、当時の様子の証言としてこのパンフを大事にとっていた。まさか令和になってその息子(だいぶ育っている)が赤胴を付けるとは知るよしもなかった。
そうか。真空斬りは家の芸になったか。先祖代々というのに憧れがあったと松也くんは話していた。父から受け継げる演目として選んだ赤胴。君の気持ちは一件落着したのかい。
自主公演のチケットは一瞬で売り切れた。新橋あたりでまたやらないかな。

私が歌舞伎を見始めたころ、松助さんは、菊五郎劇団の世話ものに必ずいた。私は松助さんの演じる役が好きだった。
文七元結の角海老番頭藤助(とうすけ)はとくに好きだ。軽妙で主人公との掛け合いの息もぴったりで、私はそれが見たいのも手伝って、文七がかかるといそいそとチケットを取った。
そのご子息、松也くんは小さなころから子役として出ていた。二代続いた名子役ということやな。
松也という名前は、松助さんの弟の大谷桂三さんがはじめに名乗っていた名前だそう。
先日、NHKのインタビュー番組でお父さんとともに襲名したときの映像が流れていたが、小さすぎて、じっと待つ間延々続く大人たちの口上の長さに耐えられなくて、頭をこてんと前に垂れてしくしく泣いていた。かわいそすぎるw
また、別の番組で話していたことだが、子役の要る舞台として幼子の首実検のある演目に出たせいだろうか、かっこいいなあと思って懐紙を持ち帰り家で首実検のまねごとをしていたそうな。かっこいいポイントそこなんか。

私が、松也くんももう大人の役をやるのかなと思ったのは、やはり文七元結の芝居で、娘 お久をやっていたときだ。
そのころ、菊五郎さんの文七元結ではお久の配役はほとんど宗之助くんであり、そのサイズで刷り込まれていたので、松也くんが登場したときの感想は「お久、でかっ。」だった。
このがっしりさなら、将来立役になるだろうなという予感がした。
凛々しい若武者は似合うだろうが、女形も見たいので一面残念であったりもした。
それで松也で印象に残る役といって思い出してしまうのがこの役なのだ。
もうちょっと違う役を挙げてくれよと言われるかもしれないけど。じゃあコギャル?(そうではない)
他の役者さんでも、蝶に成りたての時期は妙に覚えている。習ったままのまっすぐな芝居になるからかもしれない。

もちろん最近で印象に残る役はあるが(義賢とか、超高速毛振り連獅子とか)、歌舞伎で極め付きで松也という役、まだピンとこない。
いや、今月手に入れたかな。FFXのシーモア。(あと、めい? それと…三谷かぶきのアレ? (普通のはないのか。普通のは。))

シーモアはやばい。よくこんな役をつけてくれたと思う。SNSでは”ねっとり”と書いている人をちょいちょい見かけた。さらりとした水でも、ぎとぎとした油でもない、ねっとり。ニンであることは、一見にしかず。

兼ねる役を見たい気持ちもある。
たとえば(このサイトにも大昔の記事がある)都鳥の花子/松若丸。順当なら菊之助さんに回る役。でも松也さんなら最後の最後に本性に返るところ、良いだろうと思う。

あとは、藤助さんをやることはないかもしれないけど、助六の通人?、あれ、できたらいいな。
難しそうだけど…いや、でも菊五郎さんは襲名で助六やったし、もし音羽屋でやることがあったらワンチャン…

浅草を卒業したら、どう動く?ちょっと心配している。刀剣、成功すればいいけど。
興行的にというよりは、再演できるような濃い作品に仕上がるといいなって願う。

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