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2002年の時代劇
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2002年の時代劇

2002年の時代劇を語ろうの記録

2003/01/07〜02/16までの間、専用の掲示板でみなさんに投票兼コ メントをいただきました。

書いていただいた内容は、2002年の時代劇ベスト5と、勝手にあげる時代劇賞(時代劇自体とそれに直接関わった人・ものに対する賞)、勝手にあげる周辺賞(時代劇の周辺分野に対する賞)、および2002年の時代劇に対するコメントです。 その記録を保存してあります。 ご協力ありがとうございました。

2002年の時代劇を語ろうの記録

2002年の時代劇一覧

というわけで、1年間お待たせしました。(2004/01/12(汗))

2002年の時代劇ベスト5集計結果発表

上記の掲示板で皆様に付けていただいた順位を、1位5点、2位4点、3位3点、2位2点、5位1点として集計し、総合順位を出しました。投票として有効な人数は19名様。

  • 一位:御家人斬九郎 (64点)

  • 二位:壬生義士伝(47点)
  • 三位:子連れ狼(46点)
    • 四位:利家とまつ (22点)
    • 五位:はんなり菊太郎(16点)

以下得点順に… 水戸黄門(14点)、SABU(13点)、茂七の事件簿(12点)、盤嶽の一生(11点)、怪談百物語(10点)、逃亡(8点、お美也(8点)、三匹が斬る(7点)、春が来た(4点)、暴れん坊将軍(3点)、陰陽師☆安倍晴明(1点)、赤ひげ(1点)、八丁堀の七人(1点)

となっています。

順位について

    *  一位:御家人斬九郎 (64点)

    * 二位:壬生義士伝(47点)
    * 三位:子連れ狼(46点)
          o 四位:利家とまつ (22点)
          o 五位:はんなり菊太郎(16点)

以下得点順に… 水戸黄門第31部(14点)、SABU さぶ(13点)、茂七の事件簿(12点)、盤嶽の一生(11点)、怪談百物語(10点)、逃亡(8点)、お美也(8点)、三匹が斬る(7点)、春が来た(4点)、暴れん坊将軍(3点)、陰陽師☆安倍晴明(1点)、赤ひげ(1点)、八丁堀の七人(1点)

なぜだか渡辺謙が1,2位を独占。

1位、御家人斬九郎最終シリーズです。撮り貯めてあった古いものから比較的最近の作品までとりまぜて棚卸し。最終回は渡辺謙監督による番外編的内容で通常との雰囲気の違い等に賛否ありましたが、きっちりけりをつけての幕となりました。ちなみに、斬九という作品、これまでいつも投票時期には遠い記憶のかなたになっているという放送サイクルであったため、順位的にはわりをくってきました。しかし、映像だけでなく、キャラクター、脚本にも魅力があり、後のほうのシリーズになっても比較的失速せずに高品質の作品を送出し続けたのは立派です。斬九郎母子の楽しげなやりとり、蔦吉姐さんの美しさ、良心の映像京都へ感謝を込めて1位。

2位、壬生義士伝。テレビ東京系の正月時代劇です。見られない地域の人も沢山いるわけですが、年末の再放送で駄目押しの感動さめやらず、涙涙でつい投票…というのがつもりつもって異例のこんな位置。これまで映像化されていない作品で、ご存知ものをワイド時代劇としてとりあげたときにありがちな「名場面だけ見ておけばいいや鑑賞法」が通用しなかったことも「テレビの前に釘付け人口」を増やしたものと思われます。映画化もされていますが「映画の時間枠には収まりきらない、TVのほうがよい」といった意見も聞かれました。

3位は僅差で子連れ狼です。東映・テレ朝・7時・北大路欣也。いったいどんな甘甘なものができるのかと思いきや…やっぱある意味甘甘だったわけですが、1話のワイド画面を活かしたカメラワークなど「ほぉー東映もやるじゃん」といったところがプラスに働いています。ほか、こういうものに対して絶対的に飢えているということと、大五郎がかわいい、と、そういう理屈抜きの要因がありまして、新作連続作品では他にかなりの差をつける結果になっています。

4位、利家とまつ。世の中の圧倒的支持を得た作品です。徹頭徹尾「まつ」中心の描き方で時間も空間も超越するという、ある意味ご存知時代劇のようなところがあるため、大河ドラマでそんなことをやってもらっちゃ困る、という人にとっては苦々しい一品。歴史としてはまずいんでしょうが、ふつーにドラマとしてみたら面白い部類なんじゃないでしょうか。5位、はんなり菊太郎。京都を舞台にしたものを京都で作ってみました。ディテールにこだわる人から支持されています。渡辺徹が細いと評判。(それは順位には関係ないって)

勝手に上げる賞やコメント等から

今回はいつもの質問にプラスして「時代劇ブームってどこに来てるんでしょうか?」という質問を投げてみました。その回答にも現れていますが、「ちょんまげ天国」に代表される時代劇主題歌集CD、映画「たそがれ清兵衛」といったものが妙なヒットの仕方をしました。外側からくる、やや仕組まれた香りのするウェーブ。

それにのって時代劇マガジンが健闘しています。

2002年の時代劇の概観

「御家人斬九郎」の最終回放映。少しずつ惜しむように楽しみ続けてきたこの作品の終了と共にテレビ時代劇にとっての20世紀は終わった感がある。 気がつけば、時代劇の命をつなぐために頑張ってきたなじみの作品はおおかた姿を消した。暴れん坊将軍は実質の最終シリーズとなる。

そして新世紀はやってくる。新しい命は紡がれなければならない。 転換・脱皮・実験。かわった作品が並んだものだ。

まず、大河ドラマ。コイツがオカシイ。題名は「利家とまつ」ながら、中身は「まつ!」。有名事件どこにでも時空を越えて首をつっこむ「まつ」。「まつ」に任せておけばまちがいなし。要は「暴れん坊将軍」であり「渡る世間は鬼ばかり」なのである。いつどっからみても安心。このドラマはビックリするような高視聴率をはじき出している。流れる河であることを捨てた「講談 「まつ」」は世間に受け入れられたのである。

7時台にテレ朝東映で子連れ狼、かつ北大路欣也。このニュースにも驚いた。 あの子連れ狼がご飯時に再現できるわけもない。しかし…さび抜きの寿司でも寿司は寿司というか、食えるだけシアワセといえなくもない。

実験作がある。

フジテレビの「スーパー時代劇」(陰陽師☆安倍清明、怪談百物語)は、特筆してよいだろう。いまさら「スーパー」というあたりが語感的にどうしようもなく、CGも洗練されてなくて、立ち居振る舞いと台詞に至っては蹴りを入れてやろうかと…思ったわけだが、こういうもんをフジテレビの時代劇枠でやろうという、それ自体については歓迎する。でも大人も子供も楽しめるとかなんとか、大仰な気負いはなんか違う気がする。

外からの波は確かに来ている。単発作品に対する周囲の高評価と、「利家とまつ」のヒット、なぜだか次々と作られる時代劇映画のナゾとは、多分リンクしている。時代劇を見ているのではなく、ただスペシャルドラマを見ている、邦画を見に行く、というそういう意識で見ることが出来たとき、それは正当にフツーのドラマ・映画と同じ範疇で評価されるのである。そういうモンが(皮肉ではあるが)結果的には既成の時代劇の枠を意識させない時代劇なのではないか。わざわざ、既成の枠を越えるという目標を掲げてるウチはつらいだろう。そんな突っ張り方やめたほうがいいんじゃないかなあ。

実験では先を走っていた水戸黄門がひとつの答えを出している。髭のない、印籠の出ない水戸黄門で話題を作った石坂浩二の病気降板を受けて、里見浩太朗が後任となった。水戸黄門はその揺り戻しを利用して、さらりと元の姿へ…いや、元のイメージを公式に拡大解釈してしゃあしゃあと変身してみせたのである。

ゆくゆく振り返ってみたときに、この年の時代劇は、もしかするとバラエティに富み活気のあった年に見えるかもしれない。しかし、これは、前世紀の残り火と、空いた場所を埋めるための新しいマゲ物の模索、そして安定への揺り戻しが短い間にブラウン管に現れたせいである。私は、2002年という年を過ごしながら、以前とこれからを隔てる大きなクレバスのようなものを感じていた。たとえて言えば、直系が絶えてしまったのでよそから殿様を呼んできました。まあ同じ家でこれからも続いてきますけど血は以前とは違うのです、というような…。


この物件の更新履歴

  • 新設 (2004/01/12) 結果正式発表