人気長寿シリーズの吉右衛門版が終了。水曜日に一抹の寂しさを感じる今日この頃。 舞台に走るファンあり、原作を読み返すファンあり。
(そんなん誰でもしってますがな)
「火付盗賊改方 長谷川平蔵である。」の台詞でわかるとおり、本作品の主人公、長谷川平蔵は火盗改めの長官。物語の舞台は1700年代の末。平蔵をとりまく人々、または平蔵自身がふとしたことで出会った人、ことがらに、漂う悪の気配。平蔵は江戸の町に暗躍する盗賊たちのたくらみを鋭い勘で見抜き、元・盗賊の密偵たちや部下の同心たちを使い追いつめてゆく。「火盗」の提灯が、今しも犯行におよばんとした一味を取り囲む。ときには自ら剣を交え容赦なく悪党を切り捨てる平蔵。
盗賊たちはそんな彼への恐れを込めて「鬼平」と呼んだ。
鬼平や、周りの人々それぞれが、丁寧に作られた江戸の世界を実在人のように動き回り、毎回出てくる盗賊のひとりひとりのドラマを見せてくれるこの作品は、定番のワンパターン時代劇はつまらないと言い切る人々にも支持され、広く人気を得ています。
沢山いすぎるので困っちゃうのだけどひとことずつ。
長谷川平蔵宣以
(松本幸四郎(先代)、丹波哲郎、萬屋錦之介、中村吉右衛門)
盗賊たちからは鬼の平蔵とおそれられる火盗改めの長官。
厳しいが同心たちへの気配りも忘れない人間味のあるおかしらである。見込みのある盗賊には足を洗わせた上で自分の密偵をつとめさせているが、身分などに関係なく裸のつきあいをするため、皆平蔵に心酔している。若い頃は 放蕩息子で、本所の銕(てつ)と呼ばれ、相当不良だった模様。そのころの経験が、盗賊たちとやりあううえでこやしとなっている。盗賊や剣客たちと直接剣を交えることも多いが、強い。
佐嶋忠介
(?→黒川弥太郎、小泉博、高松英郎、高橋悦史)
同心たちをきっちり押さえるまじめで頼れる筆頭与力。
酒井祐介
(竜崎勝、本郷功次郎、峰岸徹→目黒祐樹、篠田三郎→柴俊夫→勝野洋)
筆頭同心。盗賊召し捕りの先頭に立つこれまたまじめなおにーさん。平蔵のとなりについていることも多い。なんかしらんが、かっこいい役である。
沢田小平次
(?→長谷川明夫、藤森達雄、伊吹剛→潮哲也、真田健一郎)
剣の腕の立つ同心。そのいかにも役に立ちそうなところが人気。
丹波版の藤本さんは現在の真田健一郎さん。
木村忠吾
(古今亭志ん朝(幸四郎版、丹波版)、荻島真一、尾美としのり)
おっちょこちょいで食いしん坊の愛すべき同心。いかにも役にたたなさそうなところが人気(?)。うさぎ饅頭に似てるとかで、うさぎと呼ばれて平蔵にもかわいがられている。
村松忠之進
(砂塚秀夫、?、?、沼田爆)
TV版のキャラクター。猫殿。いつも自分で工夫した美味しそうな料理を作って平蔵や同心たちに蘊蓄をたれながらにこにことふるまっている。
忠吾との天ぷらそば対決(?)にみられるように、食べ物にはひっじょーーーにうるさい。
以下続く↓
相模の彦十
(河村憲一郎、岡田映一、植木等→西村晃、江戸家猫八)
平蔵が不良だったころの顔なじみで、ならず者にぼこぼこにされてたところを平蔵に助けられたのをきっかけに、密偵となった年寄り(ごめん)。人間歴の長い分見知った盗賊も多いらしく、“あれはなんとかのお頭の下にいたなんとかのなんとかって盗人”みたいなことはよく知っている。
五鉄に居候していて、三次郎よりこの人の方が五鉄の主みたいな感じにみえる。
平蔵とは「てっつあん」「とっつあん」の気安い間柄。わりと、ちゃんと働いてます。
小房の粂八
(牟田悌三→寺尾聰、新克利、藤巻潤、蟹江敬三)
現在の表の顔は船宿「鶴や」の主人。やることはやる、頼れる密偵。本格派の盗み、というのに人一倍こだわっている。
伊三次
(堺左千夫、久野四郎、堺左千夫、三浦浩一)
ちょっといい男風(じゃない?)で女にも優しい。
おまさ
(富士真奈美、野際陽子、真木洋子、梶芽衣子)
もともと盗賊の娘でさまざまなお頭の下で引き込みなどをやっていた。
自分が子供の頃から平蔵のことを知っている。
彦十からは「まあちゃん」と呼ばれている。
ふだんクールに見えるが、内面はきっと熱い。
大滝の五郎蔵
(新田昌玄→武藤英司、内田良平、中谷一郎→伊吹吾郎、綿引勝彦)
元は名の知れた盗賊の頭領。無口で、貫禄のある男。
久栄
(淡島千景→風見章子、小畠絹子、三ツ矢歌子、多岐川裕美)
平蔵の奥方。気丈で、でも人一倍平蔵のことを気遣っている。
食べ物のとこばかり見ているせいかもしれないが、多岐川さんの場合真っ先に思い浮かぶのが平蔵のところにお膳を持ってくる姿だったりする。(ごめんなさいね。)いいなあ。おいしそうだ。美味しいものは喧嘩も止める。
たまに出てくる皮肉もなんだかかわいい。
辰蔵
(河原崎次郎→中村吉右衛門、(丹波版では出ず)、島英津夫、長尾豪二郎(劇場版:東根作寿英))
放蕩が遺伝しちゃった平蔵の長男。
以下続く…。
岸井左馬之助
(加東大介、田村高廣、神山繁→田村高廣、江守徹→竜雷太)
井関録之助
(永井智雄 、中谷一郎、竜崎勝 、夏八木勲)
言わずとしれた、池波正太郎の「鬼平犯科帳」。
幸四郎(先代)版では、若干のオリジナル話数があるそうだ。
吉右衛門版では、鬼平、の他に、同じ池波正太郎の「にっぽん怪盗伝」、「殺しの掟」、「江戸の暗黒街」の各集に収められた作品を原作としている。
吉右衛門のテレビ作品は大変人気がある。これには異論がないと思う。
しかし、WWWをサーフィンするとテレビではなく、池波正太郎の鬼平犯科帳、を取り扱うファンサイトが圧倒的に多いし、時代小説・時代劇のなかでは異例の多さとおもわれる「関連本」も原作を中心に取りあげたものがほとんどである。
シャーロックホームズをつぶさに研究してしまうシャーロッキアンという人々がいるが、イケナミストとでも言いたいような人々が沢山いるのである。
江戸の町、食べ物、人物像。現実に見てきたかのような世界にぶくぶくはまってしまう。テレビのファンが原作にすんなり入っていって足が抜けなくなってしまうのは、テレビ版が原作をよくくみ取ったうえで、人物像などをしあげている結果なのだろう。
すぐれた原作に恵まれた故に、原作が尽きたときに、約束通りにやめる。惜しい気はするけれども。潔いとおもって我慢我慢。
中村さんだらけなのである。歌舞伎では成駒屋(歌右衛門、梅之助、芝翫、鴈治郎、橋之助、福助)、中村屋(勘九郎)、萬屋(萬屋錦之介、時蔵、歌昇、歌六)、加賀屋(東蔵)、天王寺屋(富十郎)、播磨屋(吉右衛門、又五郎)(いずれも代表的な役者さんを記載)と、系統の違う中村さんが山ほどおり、そのお弟子さんもまた中村さんである。
そんなわけで、歌舞伎役者さんがたくさん登場するで吉右衛門シリーズでは、与力の小林金弥役中村歌昇さん、同心では、二井忠次郎役中村吉之助さん、竹内孫四郎役中村吉三郎さんなど、多いときにはキャストのテロップの画面一面中村で埋め尽くされる。
盗賊では、三の松平十、池田屋五平、蓮沼の市兵衛役で中村又五郎さん、長嶋の久五郎の中村橋之介さんなど。
-最近鬼平はつまらなくなった、という声をめぐって-
比較的テレビ寄りのものを挙げています。原作に注目したサイトは、たぶんこの倍くらいはあります。
2000.3.26までの判明分
※レギュラーキャストについては、どら平太様から実際の視聴をもとに作成されたリストをご提供いただき使用しています。
「「鬼平」を極める」「「鬼平犯科帳を吟味する!」の書籍には、市川プロデューサーの覚え書きに基づくキャストが記載されていますが、これには若干キャストの取り違えがあるとのことです。
丹波版キャストは、印玄様のサイトを参考にしています。
池波正太郎捕物シリーズ鬼平犯科帳
(松本幸四郎版)
NET
1969.10.7-1971.1.31 (第1シリーズ 65話)
1971.10.7-1972.3.30 (第2シリーズ 26話)
制作:東宝
脚本:小川英ほか
監督:小野田嘉幹ほか
音楽:山下毅雄
キャスト: ※は未確認、×は登場せず。
(第1シリーズ)
長谷川平蔵/松本幸四郎、長谷川久栄/淡島千景、長谷川辰蔵/河原崎次郎、佐嶋忠介/※、天野甚造/平田昭彦、酒井祐助/竜崎勝、木村忠吾/古今亭志ん朝、沢田小平次/※、おまさ/富士真奈美、五郎蔵/新田昌玄、粂八/牟田悌三、彦十/河村憲一郎、伊三次/堺左千夫、三次郎/佐田豊、宗平/寄山弘、豆岩/小高まさる、小柳安五郎/小鹿敦、山田市太郎/池田駿介、細川峯太郎/※、村松忠之進/砂塚秀夫、三沢仙右衛門/※、京極備前守/※、井関緑之助/永井智雄、岸井佐馬之助/加東大介
(第2シリーズ)
長谷川平蔵/松本幸四郎、長谷川久栄/風見章子、長谷川辰蔵/中村吉右衛門、佐嶋忠介/黒川弥太郎、天野甚造/×、酒井祐助/竜崎勝、木村忠吾/古今亭志ん朝、沢田小平次/長谷川明男、おまさ/富士真奈美、五郎蔵/武藤英司、粂八/寺尾聡、彦十/河村憲一郎、伊三次/堺左千夫、三次郎/江戸家猫八、宗平/※、豆岩/×、小柳安五郎/北川陽一郎、山田市太郎/?、細川峯太郎/※、村松忠之進/×、三沢仙右衛門/×、京極備前守/田島義文、井関緑之助/×、岸井佐馬之助/加東大介
特筆事項:
鬼平犯科帳
(丹波哲郎版)
NET
1975.4.2-1975.9.25 (26話)
制作:東宝
音楽:山下毅雄
キャスト: ※は未確認、×は登場せず。
長谷川平蔵/丹波哲郎、長谷川久栄/小畠絹子、長谷川辰蔵/×、佐嶋忠介/小泉博、天野甚造/×、酒井祐助/本郷功次郎、木村忠吾/古今亭志ん朝、沢田小平次/藤森達雄、おまさ/野際陽子、五郎蔵/内田良平、粂八/新克利、彦十/岡田映一、伊三次/久野四郎、三次郎/北川陽一郎、宗平/浅野進治郎、豆岩/植田峻、小柳安五郎/※、山田市太郎/※、細川峯太郎/※、村松忠之進/※、三沢仙右衛門/×、京極備前守/平田昭彦、井関緑之助/中谷一郎、岸井佐馬之助/田村高廣、ナレーター/中江真司
特筆事項:
PROFESSOR TAKEO YAMASHITA MISSION2 (CD CRCP-20206)に主題曲が収められている。解説書の山下毅雄自身のコメントによれば、この版の編曲はボブ佐久間とのこと。
鬼平犯科帳
(萬屋錦之介版)
テレビ朝日
1980.4.1-1980.9.30 (第1シリーズ 27話)
1981.4.14-1981.10.13 (第2シリーズ 26話)
1982.4.20-1982.10.12 (第3シリーズ 26話)
制作:東宝
プロデューサー:片岡政義、市川久夫、中岡潔治
脚本:星川清司ほか
監督:大須斉ほか
キャスト: ※は未確認、×は登場せず。
(第1シリーズ)、長谷川平蔵/萬屋錦之介、長谷川久栄/三ツ矢歌子、長谷川辰蔵/島英津夫、佐嶋忠介/高松英郎、天野甚造/御木本伸介、酒井祐助/峰岸徹、木村忠吾/荻島真一、沢田小平次/伊吹剛、おまさ/真木洋子、五郎蔵/中谷一郎、粂八/藤巻潤、彦十/植木等、伊三次/堺左千夫、三次郎/早川雄三、宗平/香川良介、豆岩/×、小柳安五郎/※、山田市太郎/立花正太郎、細川峯太郎/※、村松忠之進/※、三沢仙右衛門/水島道太郎、京極備前守/平田昭彦、井関緑之助/×、岸井佐馬之助/神山繁
(第2シリーズ)、長谷川平蔵/萬屋錦之介、長谷川久栄/三ツ矢歌子、長谷川辰蔵/島英津夫、佐嶋忠介/高松英郎、天野甚造/御木本伸介、酒井祐助/目黒祐樹、木村忠吾/荻島真一、沢田小平次/潮哲也、おまさ/真木洋子、五郎蔵/伊吹吾郎、粂八/藤巻潤、彦十/植木等、伊三次/堺左千夫、三次郎/大東梁吾、宗平/香川良介、豆岩/茶川一郎、小柳安五郎/※、山田市太郎/藤森健之、細川峯太郎/※、村松忠之進/※、三沢仙右衛門/※、京極備前守/平田昭彦、井関緑之助/竜崎勝、岸井佐馬之助/神山繁
(第3シリーズ)、長谷川平蔵/萬屋錦之介、長谷川久栄/三ツ矢歌子、長谷川辰蔵/×、佐嶋忠介/×、天野甚造/御木本伸介、酒井祐助/目黒祐樹、木村忠吾/荻島真一、沢田小平次/潮哲也、おまさ/真木洋子、五郎蔵/伊吹吾郎、粂八/藤巻潤、彦十/西村晃、伊三次/堺左千夫、三次郎/大東梁吾、宗平/×、豆岩/×、小柳安五郎/※、山田市太郎/真田健一郎、細川峯太郎/中村歌昇、村松忠之進/※、三沢仙右衛門/※、京極備前守/×、井関緑之助/×、岸井佐馬之助/田村高廣
特筆事項:
鬼平犯科帳
(吉右衛門版)
フジテレビ 水曜 20:00
制作:フジテレビ、松竹
音楽:津島利章
主題曲:インスピレイション(ジプシーキングス)
キャスト:長谷川平蔵/中村吉右衛門、久栄/多岐川裕美、辰蔵/長尾豪二郎、佐嶋忠介/高橋悦史(1-6)、天野甚造/御木本伸介、酒井祐助/篠田三郎(1)→柴俊夫(2)→勝野洋(3-)、木村忠吾/尾美としのり、沢田小平次/真田健一郎、おまさ/梶芽衣子、五郎蔵/綿引勝彦、粂八/蟹江敬三、彦十/江戸家猫八、伊三次/三浦浩一、三次郎/藤巻潤、宗平/浜田寅彦、小柳安五郎/香川照之(1,2(※「女賊」の出演確認のこと))、山田市太郎/小野田真之(1)→辻政宏(2)→三ツ矢真之(3)(改名?)、細川峯太郎/中村歌昇(1)、村松忠之進/沼田爆、三沢仙右衛門/北村和夫、京極備前守高久/中谷昇、井関録之助/夏八木勲、岸井左馬之助/江守徹(1,2)→竜雷太(3-)、小林金弥/中村歌昇(7-)、松永弥四郎/宮川不二夫(不破三四郎に改名。さらに不破龍彦に改名)、竹内孫四郎/中村吉三郎、山崎国之進/中村吉次
1989.7.12-1990.2.21(第1シリーズ 26話)
プロデューサー:(チーフプロデューサー)市川久夫、能村庸一、鈴木哲夫、櫻林甫、佐生哲雄
監督:小野田嘉幹、高瀬昌弘、田中徳三、富永卓二、原田雄一、吉田啓一郎、大須斉、杉村六郎、原田雄一、太田昭和、
脚本:小川英、井手雅人、田坂啓、野上龍雄、下飯坂菊馬、安藤日出男、星川清司、中村努、櫻井康裕、保利吉紀、安部徹郎、
1990.4.4(スペシャル「殿さま栄五郎」)
1990.10.3-1991.3.27(第2シリーズ 20話)
1991.11.20-1992.5.13(第3シリーズ 19話)
1992.12.2-1993.5.12(第4シリーズ 19話)
1994.3.9-1994.7.13(第5シリーズ 13話)
1995.7.19-1995.11.1(第6シリーズ 11話?)
1996.8.21-1996.9.4(第7シリーズ 3話?)
(1997.4.9 21:00- 劇場版放映)
1997.4.16-1997.7.16(第8シリーズ 12話)
1997.3.4-1997.3.18 (「鬼平犯科帳傑作選」3話をセレクトして再放送。冒頭に平蔵の述懐がはいる。)
1998.4.15-1998.6.10(第9シリーズ 9話。新聞テレビ欄では「さらば鬼平犯科帳」)
特筆事項:
参考文献・参考サイト
(番号は当サイト内で使用している統一の番号です。番号が飛んだりしているのは、そのためです。)
(3) 季刊テレビジョンドラマ [雑誌]
(5)テレビドラマデータベース[WWW]
(7) ノスタルジックTVグラフ3 時代劇解体新書
(ノスタルジックTV倶楽部編、メディアファクトリー刊) [単行本(mook)]
(8)東映テレビ制作部[WWW]
(15)TV-Bros [雑誌 隔週刊]
(17)蔵出し 絶品TV時代劇
(近藤ゆたか編、フィルムアート社刊 1997)[単行本]
(18)「鬼平」を極める [Mook]
(発行:フジテレビ出版、発売:扶桑社 1994)
(19)「鬼平」を極めるII [Mook]
(発行:フジテレビ出版、発売:扶桑社 1995)
(20)みんなのテレビ時代劇(1998 アスペクト刊)[単行本]
※1997年分の放映リストに誤りがあります。正しいリストはこちら。
(未採番)木村忠吾ファンクラブ[WWW]
(未採番) 鬼平を究める[WWW]
Last modified: Sun Mar 26 17:00:25 2000