2001/01/08〜02/18 までの間、専用の掲示板でみなさんに投票兼コメントをいただきました。
書いていただいた内容は、2000年の時代劇ベスト5と、勝手にあげる時代劇賞(時代劇自体とそれに直接関わった人・ものに対する賞)、勝手にあげる周辺賞(時代劇の周辺分野に対する賞)、および2000年の時代劇に対するコメントです。
その記録を保存してあります。 ご協力ありがとうございました。
というわけで、一応、恒例ベスト5の発表をさせていただきたいと思います。
上記の掲示板で皆様に付けていただいた順位を、1位5点、2位4点、3位3点、2位2点、5位1点として集計し、総合順位を出しました。投票として有効な人数は12名様。
四位:剣客商売 (14点)
五位:南町奉行事件帳 怒れ!求馬 II(11点)
以下得点順に…
一絃の琴(8点)、暴れん坊将軍、京極夏彦の怪(7点)仲蔵狂乱、八丁堀の七人(6点)、次郎長三国志(5点)、水戸黄門(4点)、お江戸でござる(2点)
となっています。
お約束してましたので、複数作品を同じ順位に入れた場合に、一人の持ち点を一定とする集計方法でも点数を出してみました。(たとえば1位に3つだと、1位2位3位までで本来入れられる点数5,4,3点を持ち点として3で割って1つに4点ずつ入れます。)
すると、葵、周作、怪、がそれぞれ1点ずつ減ります。結果はあんまり変わりません。
順位について
98,99年の同様の投票の一位が40点代なのをみると、少々お点が低い感がありますが、そもそも投票してる人数が若干少ないです。
一位、柳橋慕情。今回、もっともまんべんなく票が入りました。様々な人生を描いたディテールの作りもさることながら、最終回のインパクトがだめ押しになってると思われます。最終回は大事。
二位は大河ドラマ、葵。前半の出演者の豪華さ、及び平均年齢の高さ、シチュエーションのドラマチックさで、ある意味妙な安定感を作っていた作品。さりながら、だんだんの失速で減点。親子兄弟の愛憎様々というところについてこられたかどうかが評価の分かれ目か。三位に意外(ごめんなさい)な熱血!周作がゆく。これはですね、私がためらいがちに入れた1点を除くと、票を入れた人全員が一位に推している。その強力なプッシュが三位のヒミツ。レギュラーキャラたちの住む世界の楽しさ。割合エンジンのかかるのが早く、年末までにぴたっとおさめたところが投票の時期的にも吉。四位、剣客商売。一番に他の作品を推すか、空位としておいて、二番めにこの作品を持ってきた人が多い。忘れちゃったし、一位に持っていくにはちょっと、という感じなのでしょうか。五位、求馬II。この作品は、これに点数が入ったということよりも、大江戸を駈けるに1票も入っていないことの方に注目すべきかもしれません。
「前の方が良かった票」の意味合いを感じ取るのはうがちすぎ? ここまでがベスト5作品。
一絃の琴には、3位、4位票が多し。今回は、剣客に入れた人は一絃に入れてない、という傾向があります。そういうひとも柳橋には票を入れてます。点数は低くなりましたが八丁堀の七人を3人が挙げてます。出演者に灰汁があるようにみえて、見てみればわりと落ち着きを感じる作品。あとは各作品2人ずつが挙げています。怪はWOWOWでの放映で、ごく限られた人しか見られてない作品ですが、地上波でやればもっと票が入ったでしょう。特に必殺ファンはこういうテイストに飢えているのでは。暴れん坊将軍と水戸黄門。暴れの方は、コメントから見て定着票ですが、水戸黄門は今シリーズはがんばってるじゃないか票。単発で仲蔵と次郎長。まずまず。今回は、お江戸でござるへの点が前に比べてあまり入っていません。
オードリーに8点入ってますが、いくらなんでも「時代劇」に入れるわけにはいかないので集計外です。 お気持ちはすごくわかりますけど。
勝手にあげる賞やコメントなどから。
役者で複数あがってた名前は吉田栄作。これは、じ、じつは時代劇向き?? という期待票でしょか。いまのところ「NHKの」という限定付き。 あと、尾上辰之助。こっちは誉め点だけでなく、マイナスイメージなコメントもあり。かなり見慣れている私でも最初出てきたときはちょっとこわかった。
それと柳橋の若村麻由美。
事物では、梅安のDVDなどの発売。
そして、フジテレビ系の時代劇休止。
2000年のテレビ時代劇の概観
4月フジテレビ系の水曜時代劇の休止。この枠はフィルムでの作品作りを続け、様々なスタイルの時代劇を供給してきた「最後の砦」的存在。それが、いくつもの未放映作品があるといわれる中、休眠にはいった。結果、残ったのは水戸黄門、求馬のナショナル劇場
、暴れん坊将軍の東映・テレビ朝日枠、そして大河とNHK平日。東映とNHKが性に合わない人は何を見たらいいかわからない状態。勢いCSへ流れてゆく。だが、普段見てなかったものを仕方なく見たら結構おもしろかった、なんていう声もあり。
一種の代替物的人気が朝ドラのオードリー。 そう一般ウケしてないらしいが、日本の時代劇の歴史に興味を持っている人にとっては、話題に事欠かない作品。
NHKの平日時代劇は何年か続いた金曜日の枠から月曜日21:15という半端な時刻への移動で、明治ものも含めた原作もの枠というふれこみだった。そこで、不幸つづきな女の一生で2作。単発で「おいね」。なぜか女づいているNHK。
水戸黄門は今年の放映で佐野黄門さまが引退。後任に石坂浩二が決定。
暴れん坊将軍は、いつもどおり、なんとなく存在しつづけ、799回を達成。暴れん坊将軍の枠は、当の暴れん坊将軍をやっていないときは10話ずつで別の作品を流している。新シリーズが2つ生まれた。
杉良が久しぶりに主役で見られた12Hドラマ次郎長三国志は、2001年からの10時間短縮の発表で、結果的に最後の「12H」ドラマになった。
時代劇自体はほとんど死にそうな状況なのに、どういうわけかCMだけは時代劇仕立てのものが増加。時代劇復活の予兆のように言う人もいるが、マゲが載ってるだけで喜んではいられまい。あれは一種の錯誤の面白さなんで、時代劇自体がウケてるのとは違う。
2001年春には、フジテレビの時代劇枠が帰ってくることが決まっている。もちろん拍手して喜ぶべきことだ。しかし、これは1999年のレベルに回復したに過ぎない。
まだまだリハビリが必要だ。