6月は江戸シリーズです

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江戸シリーズって何?

フジテレビ系の「江戸」をタイトルに冠した木曜の9時の時代劇シリーズは、1975(昭和50)年4月から、6年半、9作に渡って放映されました。放映順に、「同心部屋御用帳 江戸の旋風(えどのかぜ)」「同心部屋御用帳 江戸の旋風II」「同心部屋御用帳 江戸の旋風」「江戸の渦潮(えどのうず)」「同心部屋御用帳 江戸の旋風」「江戸の激斗」「新・江戸の旋風」「江戸の朝焼け」「江戸の用心棒」
とくに「江戸の旋風(えどのかぜ)」は、合計5シリーズ放映され、1970年代後半においてはこの枠の顔であったと言えるでしょう。
じゃあ他の4つは?うーん、間にはさまってる番組。(おいおい。)
江戸の旋風は、定町周り同心たちの同心部屋を刑事部屋に見立てた江戸版刑事ドラマだったようです。また、江戸の渦潮、江戸の朝焼けは同心と岡っ引きを中心にしたドラマで、いずれも親子で悪に挑んでます。残る「江戸の激斗」は金をもらって闘う浪人部隊という毛色の変わった設定。「江戸の用心棒」は詳細未調査ですが用心棒日月抄のテレビ化作品であった、と伝えられています(伝聞)。
で、これらを称して俗に江戸シリーズと言っているわけですが、いつからそう呼ばれているのか分かりません。ただ、後半の江戸の○○の広告ではしっかり「江戸シリーズ」と書かれていますから作る側のほうが「江戸シリーズ」と呼んでいるのは確かのようです。
最終作「江戸の用心棒」の後は「同心暁蘭之介」(杉良太郎)が続き、以降この枠から時代劇は消えます。

江戸の裏番組

平日の9時といえば、「ニュースセンター9時」。人気番組だったのですよ、当時のこれは。なにも「江戸の」に限ったことではなく、「破れ」や「座頭市」もNC9の裏であります。(磯村調でどうぞ。)
そんなわけで、ニュースの見たいお父さんの居るうちでは、この時間そちらを見ていたかもしれません。 …少なくともうちではそうでした。(T_T)

小林桂樹

千秋実との交代のような形で、江戸の旋風のお父さん役(?)におさまった小林桂樹は、他のやつにもほとんど主役級の役どころで出ております。ほかに、たびたび顔を出すのが露口茂。
新・江戸の旋風に沖雅也が出てきたと思ったら、次のシリーズでは主役になってしまったり。こういった役者さんの居残りがちょっとシリーズっぽさを感じさせます。

他の江戸

「江戸の○○」という題名で有名…と思われるのが、テレビ朝日の「江戸の鷹」(1978)や「江戸の牙」(1979)。「江戸の鷹」は副題がついてまして「江戸の鷹 御用部屋犯科帖」といいます。江戸の、部屋、御用、帖…。お話は「旋風」とは全然違って「鷹」のほうが独自発想的な面が強いのですけど、名前だけだとなんか立派なまがい物だったりします。

関連するよそのページ

江戸の旋風
当時LPを買ったという方のページ。

江戸の夕ばえ作戦!?

江戸の旋風IIの音楽というのが、当時LPで出ており、現在CDで復刻されています。(下記「江戸の旋風II」の特記事項を参照。)
これに収録されているテーマ曲を聞いていたMIT.氏が、「これはNHK少年ドラマシリーズのいずれかの曲である」と言い出したから大変。(ただし、大変なのは私だけ。)
時代劇を見ない彼がメロディーも正確に口ずさんでいる。これは、ひょっとしてほんとかも、と思った私はさっそく捜査を開始しましたが、わかったのは、「夕ばえ作戦」の作曲者が同じ服部克久氏であるということのみ。(腹巻き猫様の劇伴倶楽部参照。)
そしたらしばらくして、MIT.氏曰く「思いだしたっ!夕ばえ作戦だ、間違いないっ。」と風呂から飛び出したアルキメデスのようにきっぱり。
これを裏付けるように、間違いなく同じ曲(二宮様)、全く同じ(滝沢様)という証言も得ることができました。
メールをくださった二宮様によりますと、「「夕映え作戦」は30秒くらいの短い曲でしたが、特徴的なエレキギターのメロディーは今でも頭の中に残っています。」とのこと。
MIT.氏も「これ、ギターでしょぉ?」と記憶を確かめるように言っておりましたが、やや低音域のエレキギターのぎょんぎょんという音とシンセサイザーの宇宙的な高音が毅然としたバック伴奏にのって、悲壮感と決心ととどまることない流れを感じさせるテーマ曲です。
ちなみに、「江戸の旋風II」のテーマ曲は一分半ほどの曲で、イントロ(わかちゃかギター。燃えよドラゴンの出だしによく似ている)、第一主題(エレキギター主体)、第二主題(トランペット主体)、ナレーション(ベースや伴奏のパートのみ残る。黒いジャガーのテーマ、に同じような作りの部分がある。)、盛り上がって締め。というような構成です。
もともとこのようなロングバージョンがあったのか、短い曲を膨らませたものなのかはわかりません。
作品の放映時期は、夕ばえ作戦の方が先行していて1974年頭。江戸の旋風II は1976年4月よりの放映です。テレビドラマにおけるBGMの流用はときどき見られますが、この2作品は番組のジャンル、制作・放映局が違い、またBGMでなく主題曲自体が使用されている興味深いケースです。どのようないきさつでSF作品の主題曲が時代劇に転用されたのか是非知りたいところです。

作品について:

夕ばえ作戦
1974.1.14-1974.1.23 6話
NHK
現代の高校生が戦国時代に行って戦い方を教えてあげる(たとえば、忍者の装束は真っ黒よりちょっと灰色っぽい方がいいとか)…というような話だとか。
主人公役はずうとるびの山田隆夫。
関連するよそのページ:二宮さんちのホームページ


潮哲也途中参加の事情

…について、物書きどころにて、まさ様より貴重な証言をいただきました。

「時代劇データ集の江戸シリーズで、『江戸の旋風㈼』の潮哲也は途中参加云々についてですが、これは森哲夫と交替で登場したものです。
森哲夫扮する同心が、行方不明となっていた許嫁がからんだ事件に遭い、事件は解決し許嫁とも結婚できることになったものの、右腕(左だったかな)を負傷したために定町廻りから外されることとなり、これに代わって登場した見習い同心が潮哲也と加納竜の二人です。この時千葉左内が、定町廻りの定員は六名なので二人も入ると定員オーバーではないかという鋭いツッコミを入れたところ、高瀬儀右衛門が「こいつら(潮と加納)はまだ半人前なので、二人で一人という勘定になるんだ。」などというムチャクチャなことをいってました。
(まさ1998/09/14 Mon 10:12:47 )」

…加納竜は半年ほどでて殉職したそうです。
(若くてヤル気はあるが周囲を顧みずに突っ走って失敗する見回り同心の役を担うのは一人で十分だったのか…〉まさ様談。
3、4回の出演しかご記憶にないそうですが、印象の薄い加納竜。それはそれで悲しき事態です(^_^;;;;;)junjun

 


データ

1998.10.19までの判明分

同心部屋御用帳 江戸の旋風
1975.4.10-1976.3.25 49話
フジテレビ 木曜日 21:00-
サブタイトル&役の紹介
企画:中本逸郎
プロデューサー:広岡常男、市川久夫
制作:東宝株式会社、フジテレビ
製作:円谷プロ
脚本:桜井康裕ほか
原作:島田一男(「桃源社」版)
音楽:山倉たかし、卓大介
協力(26話〜):俳優座(古賀伸男、松本征二)
キャスト:千秋城之介/加山雄三、早見茂太夫/千秋実、高瀬儀右衛門/近藤洋介、由良三九郎/田中邦衛、三保木大学/地井武男、勘八/橋本功、日下兵馬/木村四郎、嘉助/守田比呂也、六助/中原成男、お葉/浜美枝、根岸肥前守/原保美、三保木佐十郎/小沢栄太郎、お清/村地弘美、千葉左内/津坂まさあき(1975.10.9- の参加)、根津新兵衛/池部良(1975.7.10- の参加)
特筆事項:えどのかぜ、と読む。6人の南町同心の活躍を刑事物風に描く。加山が主役のかっこいい(…)同心、近藤がこわそうな同心、千秋が人情味あふれる筆頭同心といったところ。途中から口達者の同心、津坂が加わる。
東宝からの依頼で円谷プロが製作を担当した模様。当初は2クールの予定だったようだ。原作は桃源社から出ていた。
風車の弥七様より詳しい解説とデータをいただきました。サブタイトルのところに載せていますのでご覧ください。

同心部屋御用帳 江戸の旋風II
1976.4.1-1977.3.25 53話
フジテレビ 木曜日 21:00-
サブタイトル&役の紹介&解説
制作:フジテレビ、東宝株式会社
企画:中本逸郎、田嶋潔(50、60、61、63話〜)
プロデューサー:広岡常男、市川久夫
原作:島田一男
音楽:服部克久
キャスト:千秋城之介/加山雄三、林田孫兵衛/小林桂樹、高瀬儀右衛門/近藤洋介、千葉左内/津坂まさあき(→28話より秋野太作と改名)、頼母木肇/潮哲也(28話より)、三枝源三郎/加納竜(28話-53話)、島津半蔵/露口茂、勘八/橋本功、玉木新吾/森哲夫、嘉助/森田比呂也、六助/中原成男、留吉/西岡徳美(現・西岡徳馬)、おふじ/藤江リカ、綾/瞳順子、大四郎/小田敏治、ナレーター/井上孝雄
特筆事項:前作からの居残り加山、近藤、津坂に加え、小林桂樹、露口茂、森哲夫が同心役となった。(ってことは潮哲也は途中参加かな?)筆頭同心役は小林。露口茂の役は元隠密周り同心だそうな。→フォロー情報:潮哲也途中参加の事情
本作のサウンドトラックLPレコードが1977年に出た。が、ジャケットのタイトルが「江戸の旋風II」でなく「江戸の旋風」であるので、発売は3作目の放映中かもしれない。このサントラは1997年にCDでvapから復刻されている。

同心部屋御用帳 江戸の旋風 (第3シリーズ)
1977.4.7-1978.4.27 50話
フジテレビ 木曜日 21:00-
サブタイトル&役の紹介&解説
特筆事項:次に江戸の旋風が始まるときの新聞の番組評には、1978.4末までのトータルで152話を数えたと書かれている。…それだと話数が合わないのですけど。どれが違ってんのかなー。
→フォロー情報:風車の弥七様のデータにより、江戸の旋風IIが53回までであることが判明しました。(復刻サントラに書かれているリストの江戸の旋風IIが49回、の記載が誤りです。)これで話数が合います。
また、江戸の旋風IIと表示される最後の話、53話について、新聞のテレビ欄で「終」の記述がないため、その翌週から始まる「江戸の旋風」は別の作品として分けるべきではないのではないかというご意見を一緒にいただいています。題名変更の意図ははっきりしませんが、ここでは、第三シリーズのキャスト、スタッフ、サブタイトルについては、「江戸の旋風II」に統合しておきます。

江戸の渦潮
1978.5.4-1978.11.9 23話
フジテレビ 木曜日 21:00-
脚本:桜井康裕ほか
キャスト:唐木半兵衛/小林桂樹、純之介/古谷一行、辰蔵/露口茂、左とん平、小松政夫、岡江久美子、東野英心、小野ヤスシ、梅津栄、名取裕子
特筆事項:えどのうず、と読む。同心親子(半兵衛、純之介)と目明かし辰蔵のトリオが悪に挑む話だそうです。

同心部屋御用帳 江戸の旋風 (第4シリーズ)
1978.11.16-1979.12.27 26話
フジテレビ 木曜日 21:00-
原作:島田一男
キャスト:(新規参加レギュラー→)名高達郎、ジュディ・オング、風祭ゆき
特筆事項:新同心に名高達郎。サブタイトルに「○○編」とつけるスタイルができたようです。

江戸の激斗
1979.5.31-1979.12.27 26話
フジテレビ 木曜日 21:00-
制作:東宝株式会社、フジテレビ
脚本:保利吉紀、星川清司、櫻井康裕、佐藤繁子、猪又憲吾、中村勝行、村尾昭、中村務、下飯坂菊馬、杉村のぼる
監督:高瀬昌弘、小野田嘉幹、児玉進、山本迪夫
音楽:菊池俊輔
主題歌:「陽だまりの彼方へ」作詞)童洋介、作曲)原田良一、編曲)チト河内
「風に吹かれて」作詞)荒木とよひさ、作・編曲)チト河内、唄)長瀬晴美
キャスト:花咲長兵衛/小林桂樹、毛間内以蔵/露口茂、滝新八郎/柴俊夫、町藤太/夏木陽介、篠原道之介/名高達郎、片倉小助/三浦浩一、江藤燐兵/地井武男、久坂一/石橋正次、小野ヤスシ、森田比呂也、野平ゆき
特筆事項:「遊撃隊」、は一人当たり一回五両で仕事を請け負う非合法の戦闘部隊。元締めが花咲、で実質の隊長が毛間内。こんな大勢で悪者退治にでかけてく人たちもめずらしい。

新・江戸の旋風
1980.1.10-1980.8.28 35話
フジテレビ 木曜日 21:00-
企画:中本逸郎(フジプロ)、石黒正保(フジテレビ)
プロデューサー:広岡常男
協力:市川久夫
脚本:佐藤繁子ほか
監督:山木迪夫(迪はしんにょうに点が二つある字) 原作:島田一男
音楽:服部克久
キャスト:千秋城之介/加山雄三、村田孫兵衛/小林桂樹、高瀬儀右衛門/近藤洋介、立花精一郎/沖雅也、日暮晋作/渡辺篤史、藤堂拳/倉田保昭、頼母木肇/潮哲也、嘉助/守田比呂也、佐吉/大村直樹、お藤/藤江リカ、お新/千野弘美、与助/外野村晋、勘八/橋本功、ナレーター/井上孝雄

江戸の朝焼け
1980.9.4-1981.3.26 28話
フジテレビ 木曜日 21:00-
企画:仲本逸郎
プロデューサ:広岡常男
協力:市川久夫
脚本:安部徹郎ほか
監督:児玉進ほか
音楽:渡邊岳夫
キャスト:島佐太郎/沖雅也、湊や清兵衛/小林桂樹、辰吉/鹿賀丈史、駒屋惣次郎/夏木陽介、常松/渡辺篤史、棚橋半之助/長門裕之、おうた/佐藤友美、おせん/松原千秋、秋月右京亮/田中邦衛、捨三/小野ヤスシ、小介/大鹿伸一、長五郎/守田比呂也,文七/川辺太一朗、秋月右京之亮/田中邦衛、常松/渡辺篤史、棚橋半之助/長門裕之
特筆事項:佐太郎は目明かしの清兵衛の息子で侍の養子になっている。現在は同心。辰吉は清兵衛の養子で、隠れ目明かし。

江戸の用心棒
1981.4.2-1981.9.24 26話
フジテレビ 木曜日 21:00-
企画:白川文造(フジテレビ)、香取雍史(東宝)
製作:東宝株式会社、映像京都、フジテレビ
プロデューサー:西岡喜信、永田頭寿、砂原博泰
原作:藤沢周平
音楽:津島利章
主題歌:「漂流船」海援隊 (ポリドール 7DX-1025)
キャスト:青江又八郎/古谷一行、細谷源太夫/夏木勲(現:夏八木勲)、米坂八内/田中健、近江屋吉蔵/笑福亭仁鶴、平沼由亀/中井喜恵、細谷葵/服部妙子
特筆事項:用心棒日月抄の初テレビ化であるらしい。クレジットで確認したところ「夏木勲」と改名前の名前で出ています。主題歌は1991発売の海援隊の全曲集CD(ポリドール POCH-1115)に収録。


参考文献・参考サイト
(番号は当サイト内で使用している統一の番号です。番号が飛んだりしているのは、そのためです。)
(1) QA 1997年7月号 [雑誌]
(5)テレビドラマデータベース[WWW]
(7) ノスタルジックTVグラフ3 時代劇解体新書
(ノスタルジックTV倶楽部編、メディアファクトリー刊) [単行本(mook)]
(8)東映テレビ制作部[WWW]
(17)蔵出し 絶品TV時代劇
(近藤ゆたか編、フィルムアート社刊 1997)[単行本]
(20)みんなのテレビ時代劇(1998 アスペクト刊)[単行本]
(未採番)朝日新聞縮刷版
(未採番)江戸の旋風ミュージックファイル(東宝レコード復刻盤)
vap 1997[音楽CD]


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junjuns@geocities.co.jp

Last modified: Mon Dec 21 01:15:10 1998