ソ連崩壊の思い出は私にもあって

NHKの解説委員室のコラムに、石川一洋解説委員が、ソ連崩壊時の思い出を書いている。
(2011/12/21 連邦崩壊20年 忘れ得ぬ人)
http://www.nhk.or.jp/kaisetsu/column/index.html

それで思い出した話。私は大学生だった。
私の学校は、マルクス経済学の最後の砦と…呼ばれていたらしいのだが、
社会主義経済学を専門にする先生や先輩もまだいた。

うちの経済学部と法学部にはそのころ変な制度があり、論文(よその学部で言う卒論)を書けば12単位もらえる。書かない場合はそれを講義で取ってもいい。
私は論文なんか大嫌いだったので、余計に講義を取らなければならなかった。
そんなわけで、まったく専門外の社会主義経済の講義も受けていた。

自分の大学でまかなえないものについては、他の大学から先生を招いて、連続講義というのがある。当時は夏冬あった。
このとき、ソビエト経済論というのがあった。冬だったと思うが。この講義は、ソビエトにはセントラルヒーティングというのがあるがたいてい壊れててな、地 下鉄の改札はこうなっててな、というような話が面白かったので覚えているが、ある朝、先生が来て「大変なことになりましたね」というようなことを言ったと 思う。シュワルナゼ外相が辞めた。
当時すでに、東西の構図はくずれており、こんなときにソビエト経済論なんかやって意味あるんだか、と思ったが、これはまだ序の口。

レギュラーの講義に社会主義経済論というのがあったが、大学の講義というものは、教授が今何を研究しているかに左右されるもので、この講義、「ベルリンの壁はどのように崩壊したのか」という話に終始していた。
ところが、1991年夏、一大事が起こる。ソ連でのクーデターである。ベルリンの壁は一旦置いといて、ソ連情勢をリアルタイムで追っかける講義になってゆく。
これ、なにがテストに出るのか。社会主義経済学について何も習ってないし、とほほ。
そして、その冬、ベルリンの壁どころじゃない、ソ連邦が崩壊してしまうのである。

経済も地理も大嫌いなのに経済学部に行った自分はアホだと思うが、
当時の自分に、この講義を楽しめる基礎知識があったら、と思う。
学生の時資本論も読んだけど3回読んだらちょっと面白かった。
そのくらいやったらちょっとは面白かったと思うのね〜。20年たって大人力がついたから言える話かもしれないけれど。

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